睡眠時無呼吸症候群

睡眠時無呼吸症候群とは睡眠中に呼吸停止が繰り返されることにより、日中に眠気が生じ、さらにさまざまな合併症を引き起こす病気です。多くのタイプがありますが、代表的ものとして閉塞型睡眠時無呼吸症候群が挙げられます。成人男性の約3~7%、女性の約2~5%に多く見られ、男性では40~50歳代が半数以上を占める一方で、女性では閉経後に増加する傾向です。

内視鏡検査や鼻腔通気度検査、CT検査を行うことで原因を特定し、患者さまの症例をふまえ、経鼻的持続陽圧呼吸療法(CPAP)や軟口蓋形成術などの治療を行います。

睡眠時無呼吸症候群診断のながれ

1.診察
  • 診察・検査は予約制となります。
  • まずは、お電話で診察日をご予約下さい。
  • 予約電話番号:03-3712-4970

2.簡易型による自宅検査
  • 精密検査(PSG検査)を行う前のスクリーニング検査です。
  • 機械をお貸しして自宅で検査を行います。
  • 検査で無呼吸底呼吸指数(AHI)が40以上の場合、重症の睡眠時無呼吸症候群と診断され、標準的治療であるCPAPの保険適応となります。
  • AHIが20以上40未満の場合入院による精密検査が必要です。
  • AHIが20未満の場合軽度の睡眠時無呼吸症候群と診断され、10未満の場合異常なしとなります。
  • 無呼吸低呼吸指数(AHI)とは1時間あたりの無呼吸と低呼吸を合わせた回数のことです。

3.入院による精密検査
  • 1泊2日(2日入院)で行う精密検査です。
  • 睡眠時無呼吸症候群ばかりでなく、レム睡眠行動障害などの睡眠時随伴症や周期性四肢運動障害などの睡眠関連運動障害の診断も行えます。
  • 簡易検査でAHIが20以上の場合に保険適応となります。

4.治療方針の決定

  • 検査の結果をふまえ総合的に治療方針を決定します。
  • CPAPは睡眠時無呼吸症候群の治療の中心です。
  • CPAP以外に手術療法、マウスピース、生活指導も重要な治療法です。

睡眠時無呼吸症候群とは

眠っている人

睡眠時無呼吸症候群とは睡眠中に繰り返し起こる呼吸停止と日中過眠等の症状が起こり、様々な合併症を起こす病気ですいくつかのタイプがありますが、最も多いのが閉塞型睡眠時無呼吸症候群です。これは鼻腔・口腔・咽頭といった上気道の狭窄閉塞が原因でおこります。脳幹の呼吸中枢の一過性の活動停止が原因でおこる中枢型睡眠時無呼吸症候群や閉塞型と中枢型の混合したものもあります。成人男性の約3~7%、女性の約2~5%にみられます。男性では40歳~50歳代が半数以上を占める一方で、女性では閉経後に増加します。

睡眠時無呼吸症候群 ー発症メカニズムー

睡眠時無呼吸症候群 発症メカニズム

睡眠時無呼吸症候群は空気の通り道である上気道が狭くなることが原因です。

鼻炎(アレルギー性鼻炎・副鼻腔炎)・鼻中隔弯曲症といった鼻の病気が睡眠時無呼吸症候群の原因となります。これら病気の治療により睡眠時無呼吸症候群が軽快するとともに、睡眠時無呼吸症候群の標準的治療であるCPAPの導入が無理なく行えるようになります。図は鼻中隔彎曲症のCT画像です(赤の矢印)

扁桃肥大

扁桃肥大も睡眠時無呼吸症候群の原因となります。特に小児で問題となります。扁桃摘出術が睡眠時無呼吸症候群の治療として有効なものとなります。口蓋垂が肥大し軟口蓋による咽頭口腔の狭小をきたすことも睡眠時無呼吸症候群の原因となります。口蓋垂軟口蓋咽頭形成術が行われます。舌が大きい、特に舌根肥大や下顎の後退(下顎後退症)・下顎が小さい(小顎症)も睡眠時無呼吸症候群の原因となります。首まわりの脂肪の沈着が多いと上気道は狭くなりやすく、肥満も睡眠時無呼吸症候群と深く関係しています。

睡眠時無呼吸症候群 ー症状ー

閉塞型睡眠時無呼吸症候群の症状は、睡眠時の症状と覚醒時の症状に分けることができます。

睡眠時の症状 ①いびき②異常体動③不眠・中途覚醒④夜間頻尿

覚醒時の症状 ①日中過眠(EDS)②起床時の頭痛・頭重感③性欲低下・インポテンツ④性格変化・抑うつ状態

睡眠時無呼吸症候群ではさまざまな合併症がおこります。合併症には①多血症②高血圧③不整脈④虚血性心疾患⑤脳血管障害⑥糖尿病⑦肺性高血圧⑧突然死 などがあります。これらの予防のためにも睡眠時無呼吸症候群の治療を適切に行うことが大切です。

睡眠時無呼吸症候群の検査

問診票による睡眠時無呼吸症候群の簡易診断

日中の過眠(EDS)は睡眠時無呼吸症候群の重要な症状です。エップワース眠気尺度は、日常生活における活動の中で経験する眠気についてのアンケートによる簡易評価検査です。8つの質問項目の各得点(0~3点)を単純に加算して、総合得点(0~24点)を算出します。得点が高いほど日中の眠気が強いと判断されます。11点以上の場合睡眠時無呼吸症候群の可能性があると考えられます。


エップワース睡眠尺度

耳鼻咽喉科診療により睡眠時無呼吸症候群の原因診断

睡眠時無呼吸症候群は鼻腔・口腔・咽頭といった上気道の狭窄閉塞が原因でおこります。耳鼻咽喉科的検査で狭窄がどこで起こっているかを確認することが重要です。主な検査として①内視鏡検査②鼻腔通気度検査③CT検査があります。

簡易型睡眠ポリグラフ

簡易型睡眠ポリグラフ
携帯型の機械をお貸しし、自宅で行う検査です。就寝前に鼻と指にセンサを装着し、睡眠中の無呼吸の回数・無呼吸に伴い体内の動脈血の中に、酸素がどの程度含まれているか(酸素飽和度)の変化を調べます。

検査当日に来院の際には機械の取扱の説明を受けていただきます。翌日に、機械の返却に来院していただきます。


検査手順

  • 診察日・機器貸出日を電話にてご予約ください。03-3712-4970
  • 貸出しの際機器の取り扱い方法、検査の手順をご説明します。
  • 翌日機器の返却をお願いします。
  • 機器返却時に検査の解析結果をお知りになりたい方は機器貸出し時にご予約をおとり下さい。
  • 機器返却時以外の日に解析結果を確認なさる方は別途ご予約ください


終夜ポリグラフィー

終夜ポリグラフィー

ポリソムノグラフィ(PSG)検査は、簡易検査で行う呼吸状態、動脈血酸素飽和度、いびき、体位、体動などの帰記録以外に、脳波、心電図、眼球運動および筋電図等も観測し総合的な睡眠呼吸障害の診断をするための検査です。これにより、睡眠時無呼吸症候群、周期性四肢運動障害、睡眠時随伴症などの睡眠障害の詳細な診断が可能になります。一泊二日の入院で行う検査です。

睡眠時無呼吸症候群の治療

睡眠時無呼吸症候群の標準的治療であるCPAP

睡眠時無呼吸症候群の治療

無呼吸低呼吸指数(AHI)が精密検査で20以上、あるいは簡易検査で40以上で、日中の眠気などを認める睡眠時無呼吸症候群では、経鼻的持続陽圧呼吸療法(Continuous posi-tive airway pressure:CPAP)が標準的治療とされています。CPAPはマスクを介して持続的に空気を送ることで、狭くなっている気道を広げる治療法です。また、下あごを前方に移動させる口腔内装置(マウスピース)を使用して治療することもあります。小児のSASではアデノイド・口蓋扁桃肥大が原因であることが多く、その際はアデノイド・口蓋扁桃摘出術が有効です。

睡眠時無呼吸症候群の根治をめざす手術的治療

手術的治療

経鼻的持続陽圧呼吸療法(CPAP)は睡眠時無呼吸症候群の標準的治療ですが、CPAPだけが治療のすべてではありません。手術的治療も睡眠時無呼吸症候群の有効な治療法です。睡眠時無呼吸症候群は空気の通り道である上気道が狭くなることが原因で、扁桃肥大、口蓋垂周囲の狭小化、鼻炎・鼻中隔弯曲症といった鼻の病気が原因となります。これらの病気は手術的治療が有効な治療法です。当院ではこれらの手術的治療を積極的行い睡眠時無呼吸症候群の総合的治療を実践しております。

扁桃肥大に対する扁桃摘出術

口蓋垂周囲の狭小化に対する軟口蓋形成術

鼻中隔彎曲症・慢性肥厚性鼻炎に対する鼻中隔矯正術・粘膜下下甲介骨切除術