睡眠時無呼吸症候群とは睡眠中に呼吸停止が繰り返されることにより、日中に眠気が生じ、さらにさまざまな合併症を引き起こす病気です。多くのタイプがありますが、代表的ものとして閉塞型睡眠時無呼吸症候群が挙げられます。成人男性の約3~7%、女性の約2~5%に多く見られ、男性では40~50歳代が半数以上を占める一方で、女性では閉経後に増加する傾向です。
内視鏡検査や鼻腔通気度検査、CT検査を行うことで原因を特定し、患者さまの症例をふまえ、経鼻的持続陽圧呼吸療法(CPAP)や軟口蓋形成術などの治療を行います。
1.診察 |
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2.簡易型による自宅検査 |
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3.入院による精密検査 |
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4.治療方針の決定 |
睡眠時無呼吸症候群は空気の通り道である上気道が狭くなることが原因です。
鼻炎(アレルギー性鼻炎・副鼻腔炎)・鼻中隔弯曲症といった鼻の病気が睡眠時無呼吸症候群の原因となります。これら病気の治療により睡眠時無呼吸症候群が軽快するとともに、睡眠時無呼吸症候群の標準的治療であるCPAPの導入が無理なく行えるようになります。図は鼻中隔彎曲症のCT画像です(赤の矢印)
閉塞型睡眠時無呼吸症候群の症状は、睡眠時の症状と覚醒時の症状に分けることができます。
睡眠時の症状 ①いびき②異常体動③不眠・中途覚醒④夜間頻尿
覚醒時の症状 ①日中過眠(EDS)②起床時の頭痛・頭重感③性欲低下・インポテンツ④性格変化・抑うつ状態
睡眠時無呼吸症候群ではさまざまな合併症がおこります。合併症には①多血症②高血圧③不整脈④虚血性心疾患⑤脳血管障害⑥糖尿病⑦肺性高血圧⑧突然死 などがあります。これらの予防のためにも睡眠時無呼吸症候群の治療を適切に行うことが大切です。
検査当日に来院の際には機械の取扱の説明を受けていただきます。翌日に、機械の返却に来院していただきます。
検査手順
ポリソムノグラフィ(PSG)検査は、簡易検査で行う呼吸状態、動脈血酸素飽和度、いびき、体位、体動などの帰記録以外に、脳波、心電図、眼球運動および筋電図等も観測し総合的な睡眠呼吸障害の診断をするための検査です。これにより、睡眠時無呼吸症候群、周期性四肢運動障害、睡眠時随伴症などの睡眠障害の詳細な診断が可能になります。一泊二日の入院で行う検査です。
無呼吸低呼吸指数(AHI)が精密検査で20以上、あるいは簡易検査で40以上で、日中の眠気などを認める睡眠時無呼吸症候群では、経鼻的持続陽圧呼吸療法(Continuous posi-tive airway pressure:CPAP)が標準的治療とされています。CPAPはマスクを介して持続的に空気を送ることで、狭くなっている気道を広げる治療法です。また、下あごを前方に移動させる口腔内装置(マウスピース)を使用して治療することもあります。小児のSASではアデノイド・口蓋扁桃肥大が原因であることが多く、その際はアデノイド・口蓋扁桃摘出術が有効です。
経鼻的持続陽圧呼吸療法(CPAP)は睡眠時無呼吸症候群の標準的治療ですが、CPAPだけが治療のすべてではありません。手術的治療も睡眠時無呼吸症候群の有効な治療法です。睡眠時無呼吸症候群は空気の通り道である上気道が狭くなることが原因で、扁桃肥大、口蓋垂周囲の狭小化、鼻炎・鼻中隔弯曲症といった鼻の病気が原因となります。これらの病気は手術的治療が有効な治療法です。当院ではこれらの手術的治療を積極的行い睡眠時無呼吸症候群の総合的治療を実践しております。
口蓋垂周囲の狭小化に対する軟口蓋形成術