耳鳴りの最新治療理論にもとづいた総合診療を実践しています。問診では耳鳴りの具体的な症状から鼓膜所見、血圧、貧血といった内科的所見も確認します。さらに睡眠やライフスタイルをヒアリングしたうえで検査を行い、治療方針を決定します。耳鳴りの治療法は多種多様ですが、当クリニックでは総合的治療をモットーとしており、薬物療法や音響心理学的治療、認知療法、ストレスマネージメントなどさまざまな治療法を統合的に実践するのが特徴です。
皆様の耳鳴りが和らぐためにできることを・・・
耳鳴りは治療が難しいとされる病気のひとつです。小林耳鼻咽喉科内科クリニックでは、耳鳴りの新しい治療理論にもとづき耳鳴りの総合診療を実践しています。今できることを一つ一つ行うことは耳鳴りで苦しんでいる皆様の苦痛を和らげることにつながります。
耳鳴の初診は原則として予約制となっています。極力お電話でのご予約をお願いしております。
予約のお電話は診療時間内で受付けています。
耳鳴りの診断・診療には聴力検査・耳鳴検査が不可欠です。診療の効率的に行うため、初診時には検査の予約を優先させています。
電話予約:03-3712-4970
診療の前に問診票をはじめとするいくつの質問票にご記入をお願いしています。
診察を効率よく進めるためにあらかじめ問診票などを印刷され、ご記入のうえ診察日にご持参ください。
診療は原則として保険診療です。必ず保険証をご持参ください。
保険証をご持参されませんと、自費診療扱いとなります。
予約のキャンセル、変更の場合には受付にお電話をくださるようにお願いします。
STEP 1
診療の受付 |
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STEP 2 問診票の記入 |
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STEP 3 検査 |
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STEP 4 診察 |
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STEP 6 検査結果・治療方針 |
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診療の目標は的確な診断のもとに患者さんに一人一人に適した治療を実践することです。そのために一定の手順で診療を進めることになります。
耳鳴りの治療法には様々なものがありますが、薬物療法だけでなく患者さんに適した治療法を組み合わせて総合的に治療することが大切です。小林耳鼻咽喉科内科クリニックの耳鳴り総合治療には正確な診断のもとに薬物療法、音響心理学的治療、認知療法、ストレスマネージメントなど様々な治療法が統合的に含まれています。これらの治療をstep by stepに行うことが大切です。
耳鳴りの治療を円滑に進めるために・・・
耳鳴りには様々な要因か絡んでいます。それらを一つ一つ解決し治療が進んでいきます。そのためには耳鳴りの治療をきちんと理解することが大切です。
他の事に集中していると耳鳴りが気にならないのは脳が意識下で音の選択を行っているからです。
私たちの周りは音で満たされています。耳は働き者でそれらの音をすべて電気信号に変え脳に伝えます。しかし私たちは伝わってきたすべての音の電気信号を知覚するわけではありません。脳は意識下で音を選択し必要な音だけを知覚認識しています。この仕組みは音の判断機構と呼ばれています。脳が同時に処理できる情報量には限界があり、脳は優先順位の高いものを処理し、不必要なことは意識下で自動的に処理する特性があります。なにかに集中すると脳はそのことを処理することを優先させ、耳鳴りは音の判断機構で自動的に処理され耳鳴りが知覚されなくなるのです。この仕組みをうまく利用すると耳鳴りを知覚しないことが可能になります。ここに耳鳴りの治療のひとつめの鍵がありそうです。
イライラすると耳鳴りが大きく感じるようになるのは大脳辺縁系の働きによるものです。
音の判断機構は大脳辺縁系の海馬と呼ばれる部位にあると考えられています。海馬は記憶の中枢で、私たちは過去の記憶をもとに音の判断をしています。大脳辺縁系は同時に感情の中枢でもあります。耳鳴りに対する音の判断が大脳辺縁系を介してイライラや不安などの感情を生み出します。逆にイライラ・ストレスは大脳辺縁系を介して音の判断機構に影響を与え耳鳴りを大きく感じさせるようになります。耳鳴りが不快なものに感じるのは大脳辺縁系の働きと深く関係しています。大脳辺縁系の働きをコントロールすることが耳鳴りの治療のふたつめの鍵です。
耳鳴りの気になり方に個人差があるのは大脳辺縁系が心身の相関に深くかかわっているからです。
記憶と感情の中枢である大脳辺縁系は自律神経系の中枢と深く関係しています。このため私たちは過去の出来事を思い出し(記憶)、腹を立て(感情)、心臓がどきどきする(自律神経症状)のです。大脳辺縁系は心(記憶・感情)と体(自律神経系)の相関に深くかかわっています。記憶や感情に個人差があるのは当然のことです。また自律神経系の働きにも個人差があることも知られています。気質・体質・性格の違いということもできます。このため大脳辺縁系が重要な役割を果たす耳鳴りの症状発現が患者さん一人一人で異なってくるのです。
内耳は音を電気信号に変換し大脳皮質へ伝えます(図のA)。しかし、すべての音を知覚認識するわけではありません(図のB)。
この現象には音の判断機構が深く関係しています。音の判断機構が必要でない音(Neutral)と判断すると意識下で音が処理され、音は大脳皮質に到達しません。
音の判断機構は記憶の中枢である大脳辺縁系と連携し(図のD)、過去の記憶をもとに伝わってきた音を処理します。必要な音(Positive)と判断すると音は大脳皮質へ伝わり知覚認識されます。必要でない音(Neutral)と判断すると音は大脳皮質へ伝わらず知覚認識されません。
耳鳴りの場合、聴こえの仕組みの中に耳鳴発生機構が存在します。ここから耳鳴り信号が発生します。
この信号は聴こえの神経経路を伝わることになります。このとき音の判断機構が耳鳴りを未知な音危険な音・不快な音(Negative)と判断すると音は増幅され大脳皮質に伝わることになります。耳鳴りの患者さんが耳鳴りを大きく感じる時にはこのような現象が起きていると推測されています。
音の判断機構は大脳辺縁系と連携して音の処理を行っています。(図のD)辺縁系は記憶以外に情動(感情)を作り出す中枢です。
耳鳴りがNegativeと判断されると辺縁系で情動のスイッチが入り不安・苛立ち・緊張などの感情が起こることになります。
耳鳴りが強いとイライラしたりするのはこのためです。
大脳辺縁系は自律神経系の中枢である視床下部と深いつながりがあります(図のE)。
耳鳴りが強くなると大脳辺縁系を介して視床下部に働き、動悸・冷汗・息切れなどの自律神経症状が起こります。
逆にイライラや自律神経症状が起こると大脳辺縁系を介して音の判断機構に影響し耳鳴りが大きくなるということがおこります。
耳鳴りの理論に基づいた治療を考えると
①耳鳴り信号を音の判断機構がNeutralと判断するようにし耳鳴りを和らげる
②大脳辺縁系の働きを調節し不安・苛立ち・緊張などの情動反応を和らげる
③自律神経系の反応をコントロールする
が重要であると推測されます。
音響心理学的治療とは外部から特定の音を一定の方法で聞くことで耳鳴りの苦痛を和らげる治療法です。
外部の音を用いることにより耳鳴りの苦痛を和らげる治療が音響心理学的治療です。耳鳴りの理論に基づいたマスカー療法やTRT療法といったものから、補聴器の活用、日常生活の中で自分に好ましい音を聞き取ることなど様々な方法があります。この治療法の目的は外部からのバックグラウンドの音を大きくし、耳鳴りの音とバックグラウンドの音の比率を変化させ、耳鳴りの音を変化させることです。
患者さんに適した音響心理学的治療方法を選択することが大切です。
マスカー療法は1977年米国のVernonによって考案された治療法です。マスカー治療器を用いて外部から耳鳴りのある耳にバンド・ノイズを流します。耳鳴が消える大きさで聞き耳鳴りを遮蔽させます。耳鳴を遮蔽させ、耳鳴りをコントロールすることができます。このことは耳鳴によるストレスや不安感を軽減させます。これがマスカー療法の特長です。具体的には1~2時間マスカー療法を行います。この間耳鳴は遮蔽され耳鳴りがコントロールされます。マスカ―終了後、耳鳴りが消失あるいは減弱していることが少なくありません。これを後効果といいます。後効果の出現率は60~70%です。その強さは患者さんによって様々です。後効果が強いほどマスカー療法が効果的ということになります。現在、日本製のマスカー治療器は製造が中止されており、外国製のものも手に入りにくい状況にありますが、当院では独自の耳鳴りマスカーを開発して治療に用いています。
当院でマスカー療法を行った409例のデータではマスカー療法の後効果は消失39%、減弱35%でした。
TRT療法は1980年代後半Jastreboffによって考案された治療法です。サウンドジェネレーターと呼ばれる補聴器のような専用治療器を用いて外部からホワイトノイズを聞くことによって治療を行います。サウンドジェネレーターは補聴器メーカーから発売されています。TRT療法では聞かせる音を耳鳴りより小さくします。治療中耳鳴りとジェネレーターの音の両方が聞こえています。二つの音の対比を感覚することで耳鳴りに対する慣れの現象(順応)を促進させることがこの治療のゴールです。このとき患者さんは耳鳴りはあるが、ほとんど気にならないという状態になります。耳鳴りに対する慣れの現象は複雑な脳の神経心理学的な過程です。単にジェネレーターの音を聞くだけでなくJastreboffによって考えられた耳鳴りの発生理論に基づいたカウンセリングを併用することが必要です。
順応の現象は短時間で起こるものではなく、治療は長期にわたるのが一般的です。その一方で治療効果は長期にわたって持続するものと考えられています。
マスカー療法とTRT療法の比較
マスカー療法 | TRT療法 | |
使用ノイズ | 主にバンドノイズ | ワイドバンドノイズ |
ノイズの周波数 | 耳鳴りと同じ周波数 | 効果に無関係 |
ノイズの大きさ | 耳鳴りが消える大きさ | 耳鳴りが消えない大きさ |
使用時間 | 2~3時間 | 6時間以上 |
効果の原理 | 遮蔽効果、後抑制 | 順応 |
作用部位 | 比較的末梢 | 脳 |
効果の発現 | 即効的 | 数ヶ月が必要 |
効果の持続 | 比較的短い | 永続的 |
不適応 | 耳鳴りが遮蔽できない場合、音過敏 | 特になし |
マスカー療法とTRT療法は一般的には異なる機序による治療法とされていますが、実際には似通った効果をもたらすもことも多く、当クリニックでは互いに補う関係にあるものと考えています。マスカー療法からTRT療法へ段階的に進めていくのが現実的です。
耳鳴りに対する補聴器の活用
補聴器を装用すると様々な音が耳に入ってきます。それにより、全体の音の中で耳鳴りの比率が小さくなります。
耳鳴りが全体の音の中に紛れ込んで耳鳴りを知覚しにくい状態になり,、耳鳴りが気にならなくなるなります。
難聴のある患者さんに勧められる方法です。小林耳鼻咽喉科内科クリニックでは補聴器の専門外来を設置しています。ぜひご活用ください。
薬物療法だけに頼るのではなく総合的な面から耳鳴りを見直してください。
耳鳴りの治療法には様々なものがありますが、薬物療法だけでなく患者さんに適した治療法を組み合わせて総合的に治療することが大切です。小林耳鼻咽喉科内科クリニックの耳鳴り総合治療は3つの段階(ステップ)から成り立っています。この耳鳴りを克服するための3つのステップには、正確な診断のもとに薬物療法、音響心理学的治療、認知療法、ストレスマネージメントなど様々な治療法が統合的に含まれています
耳鳴りの原因は様々で耳鳴りの診療第1段階は正確な原因診断です。定型的な検査だけでなく、耳鳴検査や耳鳴りの生活への影響・心理的背景・生活習慣など患者さんの持つ問題点を総合的に把握することも含まれます。
耳鳴りの原因が判明し、それに対する治療法がある場合には、それを第一に行います。治療法が確立されていない耳疾患による場合は一般的な薬物療法が選択されます。
原因のはっきりしない耳鳴りや一般的な薬物療法が効果がない耳鳴りに対して総合的な耳鳴り治療を行う段階です。
耳鳴の多くは内耳性難聴と関わりが強くあります。まず内耳機能の回復する薬剤が用いられます。
内耳機能の改善が期待できない場合耳鳴をなんらかの形で抑制することを目的として用いられます。
耳鳴りはストレスや疲労により悪化することが多く、それらを和らげるために用います。
2つの耳鳴りの臨床的事実から認知行動療法が耳鳴りの治療に有効と考えられています。
1 患者さんに苦痛なのは耳鳴りそのもでなく、耳鳴りがもたらす睡眠障害、ストレス、不安感などの症状である。
2 症状は耳鳴りを認知する歪みすなわち誤って理解することによっておこる。
認知行動療法は認知の歪みをもとに戻す問題解決型の治療です。耳鳴りの患者さんが現在抱えている問題を患者さんと治療にあたる医師が正しく理解し、その解決の道を見つけることが治療法のゴールです。解決すべき問題が具体的であるほど治療は効果的になります。問題の解決のための手段は様々です。音響心理学的治療やストレス・マネージメントもふくまれます。認知行動療法の具体的なイメージは捉えにくいかと思います。ぜひ当院の耳鳴りに対する認知行動療法を体験なさってください。
耳鳴りを和らげるためのストレスマネージメント
耳鳴りを悪化させる最大のものにストレスや疲労があることがわかっています。ストレスマネージメントは耳鳴り治療の重要な手段です。様々なストレス・マネージメントやリラクセーションがありますが、中には効果の信頼性が疑問なものもあります。
当院では数あるストレス・マネージメントの中から①自律訓練法②マインドフルネス③ストレッチング④誘導視覚化法⑤呼吸訓練法などを中心に耳鳴りのストレス・マーネジメントを行っています。これらはいずれもの効果が科学的に実証されており、誰でもが行うことができる利点があります。通院で指導するばかりでなく、家庭で実践するための工夫も考案されています。
ぜひ当院でのストレス・マネージメントを耳鳴り治療にお役立てください。
初期の耳鳴であることは耳鳴の治療の成功の鍵のひとつ。初期の耳鳴が小さいときこそ大切。
「気のせいだろう」、「そのうち治るだろう」と放置せず専門医の診断を。そこから耳鳴の治療が開ける。
耳鳴は原因によって治療が異なる。原因のはっきりしない耳鳴には治療に工夫が必要。
従って、きちんとした診断が耳鳴り治療の第一歩。
耳鳴の治療とは耳鳴の苦痛を和らげることに他ならず。苦痛の状態が治療を左右する。
従って、耳鳴の苦痛をきちんと把握して、担当医に伝えることは耳鳴治療の第二歩。
耳鳴治療のゴールを理解しないと治療は進まない。治療を受ける患者さんはもちろん医師の側もきちんと理解しよう。
医師と患者の考える治療の目標に差があることは治療の大きな妨げ。いわゆるインフォムド・コンセント。
耳鳴の治療は民間療法の百花繚乱。だからこそ、科学的根拠に基づく治療が求められる。
これから受ける治療の科学的根拠を理解したか。
耳鳴が治りにくいことには様々な要因がある。それらを一つ一つ解決しよう。急がず・あせらず・確実に。